
今回は、HP OMEN Laptop 16-c0161AX の修理事例をご紹介します。
突然の電源断と、それに続く完全に電源が入らなくなった症状に対し、マザーボード修理によって復旧させた案件です。
電源が突然落ち、その後まったく起動しなくなった
お客様からのご相談内容は、「使用中に突然電源が落ち、それ以降まったく電源が入らなくなった」というものでした。
ACアダプターを接続しても反応はなく、充電ランプも点灯しない状態。
このような症状では、バッテリーやアダプターの問題ではなく、マザーボード側の電源回路の故障が疑われます。
当店にてお預かりし、詳細な診断を進めていきました。
分解調査とマザーボードの状態確認

まず本体を分解し、バッテリーや冷却系統を取り外して内部の状況を確認します。
HP OMEN 16シリーズはオンボードCPU搭載のモデルで、基板上にCPUが直接取り付けられており、CPU自体が破損していた場合は補修が非常に高額になってしまいます。

今回は幸いなことに、オンボードCPUそのものには異常が見られず、周辺の電源供給回路に絞って調査を進めました。
故障の原因:電源回路上のMOS-FETの不良

テスターと顕微鏡による調査の結果、マザーボード上の電源供給回路のMOS-FETに不良があることが判明しました。
MOS-FETは、CPUやメモリに適切な電圧を供給するための極めて重要な部品で、ここが故障すると電源全体が落ちる原因となります。
部品の外観には目立つ破損がないものの、テストすると通電に異常があり、過熱の兆候も確認されました。
MOS-FET交換

不具合が確認されたMOS-FETを慎重に取り外し、新品のMOS-FETに交換。
周辺の電源ラインにも異常がないことを再確認し、基板クリーニングを施して組み上げました。

外した部品を拡大して見ると、内部の焼損や劣化の痕跡がはっきりと確認できます。
これが原因で、基板全体への電源供給が遮断されていたと考えられます。
修理完了と動作確認

すべての作業を終えて組み立て後、電源ボタンを押すと無事に起動。
BIOS表示、Windowsの起動、ファンや各ポートの動作なども問題なく確認でき、電源が入らないという致命的な症状は解消されました。
同様の電源トラブルにお困りの方へ
今回のような、「電源が突然落ちて起動しなくなった」症状は、内部のマザーボード故障が原因であることが非常に多いです。
特に、電源ランプすら点灯しないようなケースでは、単なる部品交換ではなく、基板上の高度な診断と補修作業が必要になります。
当店では、今回のようなMOS-FETの交換や電源回路の補修をはじめとした、
各種マザーボード修理に対応しております。
▶ 詳しくは、当店の マザーボード修理のご案内ページ をご覧ください。