こんにちは。パソコン修理のイーハンズです。
当店はパソコン修理店ではありますが、USBメモリに関するご相談も数多く頂いています。
秋葉原のイーハンズはとくにUSBのデータ救出に力を入れています。
USBメモリの故障は自覚がある場合と無い場合の2パターン
USBメモリのデータ救出をご依頼いただくお客様で、救出したい理由は主に2パターンに分かれます。
まずはデータ救出のご依頼数No.1の「USBメモリが折れた」
目で見ても分かるとおり、コネクタの部分が曲がっているために明らかに故障していることが分かります。
これはぶつけてしまった、落としてしまった、踏んでしまったなど、故障原因に自覚のある方がほとんどです。
もうひとつは故障原因に心当たりがなく、壊したという自覚の無い故障があります。
何が壊れているのか分からない状態で「USBメモリが読み込まない」という故障です。
一言で「USBメモリが読み込まない」と言っても更に細かく見ると様々な症状があります。
- パソコンに接続しても何の反応もない
- パソコンに接続するとランプは光るが表示されない
- 「ディスクを挿入してください」と表示されて開けない
- 「フォーマットする必要があります」と表示されて開けない
- 文字化けしていて開けない、またはUSBメモリは開けるがファイルが文字化けしていて開けない
これらはもしかするとUSBメモリの寿命かもしれません。
USBメモリには書き換え回数の上限があり、上限に達したら寿命!!
USBメモリに寿命があるの!?と思う方も多いのではないでしょうか。
では、何を以って寿命なのか。
それはUSBメモリが書き換え回数の上限に達したら寿命です。
一般的にはあまり知られていませんが、USBメモリやSSDなどのフラッシュメモリには書き換え回数の上限があります。
USBメモリに多く採用されているNAND型フラッシュメモリの構造が寿命を左右する鍵
フラッシュメモリの構造を分かりやすくするとこの図のような構造になっています。
厳密にはこんなに単純ではないのですが、分かりやすく説明するために必要最低限の部分だけを記載した最も単純な図となっています。
USBメモリに書き込むデータ(電子)は基板からトンネル酸化膜を抜け、浮遊ゲートに格納されます。
浮遊ゲートの一方には電子が漏れないよう、電子を通さない「絶縁膜」があり、基板側には必要に応じて電子を通すことが出来る「トンネル酸化膜」があります。
トンネル酸化膜は電子が通らない時には絶縁膜の役割をしていますが、データの保存や消去などの書き換え作業を行うときだけ、電子を通す仕組みとなっています。
何度もデータの書き換えを行うとやがてトンネル酸化膜は劣化してしまい、その劣化が原因で電子が漏れてしまい、結果としてUSBメモリが読み込まない=寿命 となります。
少し難しく感じたかと思いますが、紙、鉛筆、消しゴムに置き換えた分かりやすい例え話があります。
鉛筆で書いたものを消しゴムで消す。また鉛筆で書き、消しゴムで消す。
この鉛筆で書いては消しゴムで消すという動作はUSBメモリでは「書き換え」を行っている状態と同じです。
何度も何度も鉛筆で書いては消しゴムで消す を繰り返すとやがて紙が磨り減っていき、穴があいてしまいます。
この紙が磨り減って書けなくなってしまう状態がUSBメモリだと「トンネル酸化膜の劣化」つまり、寿命ということになります。
USBメモリの寿命は新品で買ってからどれくらいなの!?
USBメモリに多く使われているNAND型メモリの場合、書き換え回数の上限は100万回程度と言われています。
これは1ファイルを1回コピーする=書き換え1回というカウントではなく、1つのファイルを1回コピーするだけでもかなりの回数の書き換えが行われるため、具体的に今何回書き換えが行われたのかと把握することは出来ません。
頻繁に使うUSBメモリや重いデータを上書き保存するような場合だと1年もたたずに寿命が来る場合もあれば、大体3~4年で寿命という場合もあり、一概にはいつ寿命がくるかというのはハッキリしません。
高品質のUSBメモリで使用状況や保管環境が良くても10年が寿命だそうです。
10年が寿命というのも全く使わずにただ置いておくだけでもトンネル酸化膜は劣化してしまい、電子が自然放電してしまうためです。
USBメモリはデータを永久的に保存できる道具ではありません。
意外な落とし穴!USBメモリに保存したデータをそのまま編集するのは危険!
データをUSBメモリに保存しておけば場所を移動して作業する時でもUSBメモリから開いて続きの作業が出来るので大変便利なものです。
しかし、ここにUSBメモリの寿命を縮める落とし穴があります。
例えば、WordやExcelなどのOfficeソフトは自動的にバックアップを保存する機能がついています。
たまに編集途中なのにクラッシュしてしまい、しばらくすると復元されるなんてことがあり、経験したことがある方もいると思います。
とてもありがたい機能なのですが、バックアップを行うということはデータの書き換えを行っているということです。
データをUSBメモリ上に保存し、USBメモリから読み出して編集作業等を行う場合、自動バックアップ機能により知らないうちにかなりの回数書き換えが行われているということになります。
自動バックアップ機能がついているファイルを保存し、編集している場合、寿命の目安よりも早く壊れることがございます。
実際にデータ救出をご依頼いただいたお客様に救出したいファイルは何かを聞くとWord、Excel、PowerPointなどで作成されたデータであることが多く、これらのデータを保存しているUSBメモリは故障する可能性が高いことが考えられます。
外見では分からない回路の故障も
ここまでのUSBメモリの寿命の話はフラッシュメモリに限ったお話です。
寿命なのか故障なのか判断がしにくいですが、フラッシュメモリの書き換え上限回数に達していなければそれはまだ寿命ではないかもしれません。
USBメモリは基板上に複数の部品が取り付けられており、USBメモリを分解して内部を確認したところ、基板上の回路が断線していたり、ショートしているというケースがあります。
電子顕微鏡を用いて拡大して見てみて発覚するというケースが多いですが、このような故障は寿命ではなく、回路故障となります。
フラッシュメモリが寿命を迎えてしまい、電子の放出により読み込めない状況になると救出したデータが壊れていてファイルを開くことが出来ない、またはファイルを開くことが出来ても途中から乱れてしまってファイルの一部が欠損しているような状態になってしまうこともあります。
USBメモリを読み込まない原因が寿命ではなく、回路故障であればフラッシュメモリは無事であることがほとんどなので、このようなファイルの破損はなく救出データは正常であることがほとんどです。
故障して読み込めなくなってしまったUSBメモリがどの故障に該当するかは実際に分解し、作業をしてみなければ判断することが出来ません。
USBメモリは定期的に買い替えを
USBメモリは壊れてなくても定期的に新しい物へ買い換えをお勧めいたします。
USBメモリ読み込NG→すぐ依頼を
USBメモリが寿命を迎えてしまった場合、パソコンに接続して電気を通せば通すほど状態が悪化していき、データ救出の成功率が下がります。
一番やってはいけない事は「このパソコンだからダメなのかな?」と2台、3台と色々なパソコンに挿してみることです。
もしUSBメモリが読み込まないという状態になったらそれ以上は何もせずにパソコン修理のイーハンズへご相談ください。
コメントを残す